ベテランが居ないはただの言い訳

現場

「ベテランがいないから回らない」
「あの人が辞めたから仕方ない」
職場で一度は聞いたことがある言葉だろう。

確かに、経験のある人材が抜ければ現場は苦しくなる。

知識、判断力、勘所。
それらが失われる影響は小さくない。

だが、本当に問題は“ベテランがいないこと”なのだろうか。

ベテランがいなければ回らない。
その人が休めば止まる。
辞めれば崩れる。

それは人材不足ではない。
最初から「人で回す前提」で作られた職場設計の問題だ。

ベテラン不在を理由にする組織ほど、
引き継ぎを怠り、仕組み化を後回しにし、
教育を属人的な善意に任せてきた。

そして、そのツケが回ってきただけだ。

「ベテランがいないから仕方ない」は、現場を守る言葉ではない。
設計ミスから目を逸らすための、ただの言い訳だ。

「あの人がいないと回らない」現場の実態

現場では、
「ベテランがいないから仕方ない」
「あの人が辞めたから回らない」
という言葉が繰り返される。

これらは問題の説明として、日常的に使われている。

実際に起きているのは、特定の人が休むと業務が止まるという事態である。

判断が滞り、仕事が詰まる。

周囲は待つしかなくなる。

ベテラン不在の影響は、確かにある。

知識、判断力、勘所が失われる事実は否定できない。

しかし、止まり方が極端である。

代替が一切効かない。

この状態は、経験豊富な人材が抜けたことによる一時的な混乱とは異なる。

その人がいなければ回らない、
休めば止まる、
辞めれば崩れる
という構造そのものが、異常である。

「誰かが戻れば解決する」という期待だけが残り、問題は放置され続ける。

人で回す前提が生んだ設計ミス

問題は、ベテラン不在そのものではない。

最初から人に依存する前提で、職場が設計されていることにある。

判断は特定の個人に集中し、権限は分散されない。

責任の所在は明確でも、その責任を果たすための仕組みは存在しない。

業務の流れは文書化されず、ノウハウは個人の頭の中にのみ蓄積される。

このような組織ほど、
引き継ぎを怠り、
仕組み化を後回しにし、
教育を個人の善意に任せてきた。

「いずれやる」「余裕ができたら」という先送りが重なり、構造的な脆弱性が積み上がっていく。

合理的に設計された組織では、
誰が休んでも、
誰が辞めても、
一定の業務は継続する。

判断基準は共有され、
権限は適切に分散され、
責任を果たすための手順が整備されている。

しかし人で回す前提の職場では、そうした設計が最初から存在しない。

個人の能力で補える範囲を超えた瞬間、組織全体が機能不全に陥る。

現在の混乱は、突然起きた不幸ではない。

これまで先送りしてきた結果が、まとめて表面化しただけである。

言い訳を続けた職場が迎える結末

「ベテランがいない」を理由にし続けると、問題は解決されない。

次のベテランも育たない。

属人化した職場では、
人は安心して休めず、
引き継ぎも進まず、
離職が連鎖する。

残るのは、回らない仕組みと、文句だけが増えた現場である。

本当に失われているのは、人材ではない。

再現性と継続性である。

「ベテランがいない」は、現場を守る言葉ではなく、設計ミスから目を逸らすための言い訳である。

今日の一文

『ベテラン頼りの職場は、いずれ躓く』

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